
偽装結婚~代理花嫁の恋~
第3章 ★ 衝撃 ★
「判った、判った。それよりも、その大荷物を降ろしたら? 別に何も持ってこなくて良い―裸で来てって言ったのに。服でも何でも必要な物があれば、買ってあげるよ」
どうも言うことがいちいち嫌らしいというか、意味深なように思えるのは自分の考えすぎなのか?
確かに、ずっと持っているには重すぎたので、由梨亜はボストンを降ろした。
「あなたからは私が約束を果たしたら、お金を頂くことになっています。それ以上のものを頂くわけにはいかないわ」
三鷹は呆れたように鼻を鳴らし、やれやれというように両手をひろげた。それにしても、いちいちリアクションがオーバーな男だ。まるで外国人のような仕草をする。
「リアクションがいちいち大袈裟すぎませんか?」
思ったままを言うと、三鷹は破顔した。
「これでも外国に数年いたからね」
「外国?」
国外どころか、国内旅行さえろくにしたことのない自分とは何という違いだろう!
この男は苦労知らずのお坊ちゃんなのだとつくづく思わずにはいられない。まあ、どうせ留学という名の下にさんざん羽目を外して遊びほうけていただけだろうが。
「イギリスとかですか?」
興味を引かれて訊ねると、三鷹は嬉しげに話した。
「アメリカ、ニューヨークだよ」
「留学?」
「君はよほど俺を遊び人の放蕩息子に仕立て上げたいんだなぁ。まあ、留学もしてたけど、向こうの大学院を出てからは真面目に働いてたさ。だから最初に言っただろ、真面目な会社員だって」
「あなたの話はどうも信じられないもの」
由梨亜がまた心情を吐露すると、三鷹はさも愉快そうに笑った。
「酷い言い草だ。まあ、そんなところが俺は気に入ったんだけどね」
「別に、あなたに気に入って貰う必要はありませんから」
「どこまで強気なんだか」
三鷹は気を悪くする様子もなく、にこにこと笑っている。
由梨亜は先にまずこの話をするべきだと切り出した。
「それよりも、先にお話ししなければならないことがあります」
どうも言うことがいちいち嫌らしいというか、意味深なように思えるのは自分の考えすぎなのか?
確かに、ずっと持っているには重すぎたので、由梨亜はボストンを降ろした。
「あなたからは私が約束を果たしたら、お金を頂くことになっています。それ以上のものを頂くわけにはいかないわ」
三鷹は呆れたように鼻を鳴らし、やれやれというように両手をひろげた。それにしても、いちいちリアクションがオーバーな男だ。まるで外国人のような仕草をする。
「リアクションがいちいち大袈裟すぎませんか?」
思ったままを言うと、三鷹は破顔した。
「これでも外国に数年いたからね」
「外国?」
国外どころか、国内旅行さえろくにしたことのない自分とは何という違いだろう!
この男は苦労知らずのお坊ちゃんなのだとつくづく思わずにはいられない。まあ、どうせ留学という名の下にさんざん羽目を外して遊びほうけていただけだろうが。
「イギリスとかですか?」
興味を引かれて訊ねると、三鷹は嬉しげに話した。
「アメリカ、ニューヨークだよ」
「留学?」
「君はよほど俺を遊び人の放蕩息子に仕立て上げたいんだなぁ。まあ、留学もしてたけど、向こうの大学院を出てからは真面目に働いてたさ。だから最初に言っただろ、真面目な会社員だって」
「あなたの話はどうも信じられないもの」
由梨亜がまた心情を吐露すると、三鷹はさも愉快そうに笑った。
「酷い言い草だ。まあ、そんなところが俺は気に入ったんだけどね」
「別に、あなたに気に入って貰う必要はありませんから」
「どこまで強気なんだか」
三鷹は気を悪くする様子もなく、にこにこと笑っている。
由梨亜は先にまずこの話をするべきだと切り出した。
「それよりも、先にお話ししなければならないことがあります」
