偽装結婚~代理花嫁の恋~
第3章 ★ 衝撃 ★
彼女は昨夜から今日にかけての出来事をかいつまんで話した。留守中に母が心臓発作を起こし、倒れてしまったこと。二、三ヶ月は入院するが、正しくはどれくらいになるか判らないこと。
更に、母が退院後は偽装結婚を継続することは難しいだろうとも。
三鷹は顔色一つ変えず、由梨亜の話に聞き入っている。
「それは大変だったね。君も愕いただろう」
返ってきたのは、予想外の労りのこもった科白であった。
愕いて顔を上げると、三鷹はソファに座り、長い足を優雅に組み、その上に頬杖をついている。何事かしきりに思案している風である。
「なるほどね。君の言い分はよく判るよ。確かにお母さんが退院すれば、そんな状態のお母さん一人を家に残しておくわけにはゆかない。うん、判った。まぁ、俺としては由梨亜ちゃんともっと一緒にいられると内心は歓んでいたんだけど、二、三ヶ月でも良いだろう。それで、手を打つよ」
由梨亜は眼を見開いた。
「本当にそれで良いんですか? 私が契約を早く終わらせたいからって、嘘を言ってるとか思わないの?」
三鷹は再び外人のように人差し指を眼の前で振ってみせた。
「俺、こう見えても人を見る眼だけはあるんだ。由梨亜ちゃんは他人に嘘をついてまで金儲けするようなタイプの子じゃない」
「私も」
由梨亜が呟くのに、三鷹が〝え?〟と首を傾げた。
「私もあなたが嘘を言うような男ではないって思いました。見かけは女タラシで調子が良くて遊び人にしか見えないけど、根は結構、真面目な人かもって。だから、この約束に乗ったんです」
「ああ、またしても酷い言われ様だなぁ」
三鷹は天を仰いだ。
「それじゃ、褒められてるのか、けなされるのか判らないじゃないか」
「一応、褒め言葉だと受け取って下さいね」
真面目な顔で応える由梨亜に、三鷹はもう大笑いである。
その後、彼は少し出かけてくると言ってマンションを出ていった。
更に、母が退院後は偽装結婚を継続することは難しいだろうとも。
三鷹は顔色一つ変えず、由梨亜の話に聞き入っている。
「それは大変だったね。君も愕いただろう」
返ってきたのは、予想外の労りのこもった科白であった。
愕いて顔を上げると、三鷹はソファに座り、長い足を優雅に組み、その上に頬杖をついている。何事かしきりに思案している風である。
「なるほどね。君の言い分はよく判るよ。確かにお母さんが退院すれば、そんな状態のお母さん一人を家に残しておくわけにはゆかない。うん、判った。まぁ、俺としては由梨亜ちゃんともっと一緒にいられると内心は歓んでいたんだけど、二、三ヶ月でも良いだろう。それで、手を打つよ」
由梨亜は眼を見開いた。
「本当にそれで良いんですか? 私が契約を早く終わらせたいからって、嘘を言ってるとか思わないの?」
三鷹は再び外人のように人差し指を眼の前で振ってみせた。
「俺、こう見えても人を見る眼だけはあるんだ。由梨亜ちゃんは他人に嘘をついてまで金儲けするようなタイプの子じゃない」
「私も」
由梨亜が呟くのに、三鷹が〝え?〟と首を傾げた。
「私もあなたが嘘を言うような男ではないって思いました。見かけは女タラシで調子が良くて遊び人にしか見えないけど、根は結構、真面目な人かもって。だから、この約束に乗ったんです」
「ああ、またしても酷い言われ様だなぁ」
三鷹は天を仰いだ。
「それじゃ、褒められてるのか、けなされるのか判らないじゃないか」
「一応、褒め言葉だと受け取って下さいね」
真面目な顔で応える由梨亜に、三鷹はもう大笑いである。
その後、彼は少し出かけてくると言ってマンションを出ていった。