偽装結婚~代理花嫁の恋~
第3章 ★ 衝撃 ★
「じゃあ、俺たちの結婚を祝して乾杯」
三鷹の明るい声が響き、由梨亜はウーロン茶の入ったグラスを掲げた。カチリとグラスが触れ合う。
偽装結婚の始まりに乾杯も何もあったものじゃないとは思ったが、それは口に出さなかった。どういうわけか、三鷹の表情がとても嬉しそうだったからだ。
ピザを食べる間、三鷹は留学中の話をした。マンハッタンやハリウッドを訪れたときの話になると、まるで少年のように眼を輝かせている。
「俺、ジュリア・ロバーツのファンなんだ。ハリウッドに行ったときは、ジュリアのサインも貰ったんだぞ」
頬を紅潮させて自慢する彼は、あけっぴろげだった。飄々としている外見の下に別の顔を持っているのではと思わせるようなときの彼とは別人のように屈託がなかった。普段の彼は見せかけの明るさの下に、時折、微妙な翳りを滲ませる。
いつもこんな風だったら良いのに。
三鷹には屈託ない笑顔がよく似合う。いつしか、由梨亜は三鷹の整いすぎるほど整った横顔に見惚れていた。
ピザを食べ終えた後は、三鷹がキッチンで皿やグラスを洗った。由梨亜がするからと言っても、頑として聞き入れなかった。
このマンションは四LDKの間取りで、ピザを食べたのがワイド液晶テレビやステレオの置かれているリビングであり、キッチンは途方もない広さで、小さいながらホームバーまで備えていた。
全く独身男性一人が住まうには広すぎるし、贅沢すぎる造りだ。
すべての部屋をざっと案内して貰った後、三鷹がふいに悪戯っぽい笑みを浮かべた。
「俺の寝室も見る?」
由梨亜は一瞬、きょとんとし、狼狽えて首を振った。
「まさか、結構よ」
「そう言うだろうと思ったよ」
三鷹は愉快そうに声を上げて笑いながら、寝室と思しき部屋の前は素通りした。そのことに、由梨亜はかなり安心していた。
偽装結婚をするに際しての懸念事項の中で、セックスの有無はかなり重要な位置を占める。もちろん、二人の間で交わした契約書は法的にも有効なものだし、そのことにもちゃんと抵触している。
三鷹の明るい声が響き、由梨亜はウーロン茶の入ったグラスを掲げた。カチリとグラスが触れ合う。
偽装結婚の始まりに乾杯も何もあったものじゃないとは思ったが、それは口に出さなかった。どういうわけか、三鷹の表情がとても嬉しそうだったからだ。
ピザを食べる間、三鷹は留学中の話をした。マンハッタンやハリウッドを訪れたときの話になると、まるで少年のように眼を輝かせている。
「俺、ジュリア・ロバーツのファンなんだ。ハリウッドに行ったときは、ジュリアのサインも貰ったんだぞ」
頬を紅潮させて自慢する彼は、あけっぴろげだった。飄々としている外見の下に別の顔を持っているのではと思わせるようなときの彼とは別人のように屈託がなかった。普段の彼は見せかけの明るさの下に、時折、微妙な翳りを滲ませる。
いつもこんな風だったら良いのに。
三鷹には屈託ない笑顔がよく似合う。いつしか、由梨亜は三鷹の整いすぎるほど整った横顔に見惚れていた。
ピザを食べ終えた後は、三鷹がキッチンで皿やグラスを洗った。由梨亜がするからと言っても、頑として聞き入れなかった。
このマンションは四LDKの間取りで、ピザを食べたのがワイド液晶テレビやステレオの置かれているリビングであり、キッチンは途方もない広さで、小さいながらホームバーまで備えていた。
全く独身男性一人が住まうには広すぎるし、贅沢すぎる造りだ。
すべての部屋をざっと案内して貰った後、三鷹がふいに悪戯っぽい笑みを浮かべた。
「俺の寝室も見る?」
由梨亜は一瞬、きょとんとし、狼狽えて首を振った。
「まさか、結構よ」
「そう言うだろうと思ったよ」
三鷹は愉快そうに声を上げて笑いながら、寝室と思しき部屋の前は素通りした。そのことに、由梨亜はかなり安心していた。
偽装結婚をするに際しての懸念事項の中で、セックスの有無はかなり重要な位置を占める。もちろん、二人の間で交わした契約書は法的にも有効なものだし、そのことにもちゃんと抵触している。