偽装結婚~代理花嫁の恋~
第3章 ★ 衝撃 ★
「もしかして、俺はやっぱり君に嫌われてるのかなぁ」
もう、いつもの彼らしい飄々とした態度に戻っている。先刻の彼は全身から研ぎ澄まされた刃のような鋭さを発散させていた。あの彼を見ていなければ、由梨亜も広澤三鷹という男の外見に騙されていたに違いない。
だが、由梨亜は知ってしまった。
三鷹は停止しているDVDを再生させ、早送りで見ている。
ふいに彼がリモコンで画面を一時停止させた。更にそこから再生をかけると、音楽が流れ始める。
「あれ、この曲。どこかで聴いたことがあるな」
しきりに首をひねっているので、由梨亜は教えた。
「私たちの披露宴でかかっていた曲、ほら、キャンドルサービスのときに」
「ああ、あれね」
三鷹は納得したように頷いた。
「俺たちの披露宴で、かかっていた曲だね」
由梨亜はまた顔を上気させた。
「ごめんなさい。私たちの披露宴なんて言い方はおかしいわよね。あれは模擬披露宴で、本物じゃないのに」
三鷹は何かよからぬことを企んでいるといった風に、ニヤニヤしている。
「いや、俺は一向に構わないよ。むしろ、嬉しいな。由梨亜ちゃんがそんな風に俺のことを思ってくれてたなんて」
「ま、まさか。私はあなたなんて、好きでも何でもないんだから。ちょっと言い間違えたくらいで、妙な誤解はしないで欲しいわ」
三鷹がまた笑った。
「別に俺は君が俺のことを好きだと言ったなんて、ひと言も言ってないんだけどなぁ」
まさに、語るに落ちるかな?
三鷹が悪戯っ子のように片眼を瞑るのに、由梨亜は涙ぐんだ。
「酷い」
その間も、パク・シネの透明な歌声がまるでBGMのように聞こえている。
「ああ、泣かせちゃった~」
三鷹が首を振り、次の瞬間、由梨亜の身体はごく自然に三鷹の腕に抱き寄せられていた。
「ごめん、少しからかいすぎたみたいだ。君があんまり可愛いから」
三鷹は由梨亜の背中にそっと手を添え、あやすようにポンポンと背中を叩いた。
もう、いつもの彼らしい飄々とした態度に戻っている。先刻の彼は全身から研ぎ澄まされた刃のような鋭さを発散させていた。あの彼を見ていなければ、由梨亜も広澤三鷹という男の外見に騙されていたに違いない。
だが、由梨亜は知ってしまった。
三鷹は停止しているDVDを再生させ、早送りで見ている。
ふいに彼がリモコンで画面を一時停止させた。更にそこから再生をかけると、音楽が流れ始める。
「あれ、この曲。どこかで聴いたことがあるな」
しきりに首をひねっているので、由梨亜は教えた。
「私たちの披露宴でかかっていた曲、ほら、キャンドルサービスのときに」
「ああ、あれね」
三鷹は納得したように頷いた。
「俺たちの披露宴で、かかっていた曲だね」
由梨亜はまた顔を上気させた。
「ごめんなさい。私たちの披露宴なんて言い方はおかしいわよね。あれは模擬披露宴で、本物じゃないのに」
三鷹は何かよからぬことを企んでいるといった風に、ニヤニヤしている。
「いや、俺は一向に構わないよ。むしろ、嬉しいな。由梨亜ちゃんがそんな風に俺のことを思ってくれてたなんて」
「ま、まさか。私はあなたなんて、好きでも何でもないんだから。ちょっと言い間違えたくらいで、妙な誤解はしないで欲しいわ」
三鷹がまた笑った。
「別に俺は君が俺のことを好きだと言ったなんて、ひと言も言ってないんだけどなぁ」
まさに、語るに落ちるかな?
三鷹が悪戯っ子のように片眼を瞑るのに、由梨亜は涙ぐんだ。
「酷い」
その間も、パク・シネの透明な歌声がまるでBGMのように聞こえている。
「ああ、泣かせちゃった~」
三鷹が首を振り、次の瞬間、由梨亜の身体はごく自然に三鷹の腕に抱き寄せられていた。
「ごめん、少しからかいすぎたみたいだ。君があんまり可愛いから」
三鷹は由梨亜の背中にそっと手を添え、あやすようにポンポンと背中を叩いた。