偽装結婚~代理花嫁の恋~
第3章 ★ 衝撃 ★
何故か、そう考えた時、由梨亜の胸がツキリと痛んだ。そう、私は代役の花嫁。彼が昨夜、私にあんなキスをしたのも単に側に女がいたから、ただそれだけのこと。
自分に夢中で言い聞かせている中に、三鷹が静かに立ち上がったのにも気づかなかった。
と、突然、瞳に冷たいものが当てられた。
愕いて弾かれたように顔を上げると、三鷹の声がすぐ後ろで響いた。彼の大きな手のひらが由梨亜の眼を目隠しするように塞いでいる。
「三鷹さ―」
たった今、約束を守ると言ったばかりなのに。由梨亜が咎めようとする前に、三鷹が先に口を開いた。
「じっとしていて。ほら、気持ちが良いだろう? ずっと泣きっ放しで眼が凄く腫れてたから、こうして冷やせば少しは楽になるはずだ。そんな顔していたら、可愛い顔が台無しだからね。さあ、今度は自分で持って」
三鷹は潔いくらいにさっと離れた。
由梨亜は三鷹が眼に当ててくれたアイスノンを手で押さえたままでいた。
「それじゃ、行ってくる」
三鷹の声が聞こえ、やがて足音が遠ざかった。彼は自称〝真面目な会社員〟として出勤するために出かけていったのだ。
自分に夢中で言い聞かせている中に、三鷹が静かに立ち上がったのにも気づかなかった。
と、突然、瞳に冷たいものが当てられた。
愕いて弾かれたように顔を上げると、三鷹の声がすぐ後ろで響いた。彼の大きな手のひらが由梨亜の眼を目隠しするように塞いでいる。
「三鷹さ―」
たった今、約束を守ると言ったばかりなのに。由梨亜が咎めようとする前に、三鷹が先に口を開いた。
「じっとしていて。ほら、気持ちが良いだろう? ずっと泣きっ放しで眼が凄く腫れてたから、こうして冷やせば少しは楽になるはずだ。そんな顔していたら、可愛い顔が台無しだからね。さあ、今度は自分で持って」
三鷹は潔いくらいにさっと離れた。
由梨亜は三鷹が眼に当ててくれたアイスノンを手で押さえたままでいた。
「それじゃ、行ってくる」
三鷹の声が聞こえ、やがて足音が遠ざかった。彼は自称〝真面目な会社員〟として出勤するために出かけていったのだ。