偽装結婚~代理花嫁の恋~
第4章 ★惹かれ合う心たち★
三鷹はこれには心外だと言いたげに手を振った。
「そんなはずないだろう。これでも付き合った女性たちとは真剣に接していたよ。一人くらいは、まあ、将来のことを考えたこともなかったわけでもないけど、決断するところまではいかなかった。お察しのとおり、今、恋人はいないよ」
「どうだか。皆にその調子でいつも心にないお世辞ばかり言ってたんじゃないの。三鷹さんは好きな女は、今、いないの?」
「俺?」
三鷹は眼を丸くした。どうも想定外の質問だったらしい。彼は少し考え込んだ風情で応えた。
「いるのはいるけど。どうだろうね、相手は俺なんてまるで眼中にないみたいだから、望み薄かな」
「勇気を出して当たって砕けろですよ。さもないと、私のように後悔することになるから」
どうも喋り過ぎだと思いながらも、止まらない。何でも打ち明けてきた母にも話せない胸の内を誰かに聞いて貰いたい想いが勝ったのかもしれない。
「由梨亜ちゃん、そんな男がいたのか?」
三鷹の声が少し強くなったのにも気づかず、由梨亜は頷いた。
「さっきも話した営業部で組んで販促やってたときの相方だけど、その男のことを少しだけ、良いなと思ってたの。まだ愛とか恋とかいう段階じゃなかったとは思うんですけどね。私的には良い雰囲気だと思ってた。休みには誘い合わせてスキーとか行ったりもして。普通、そういうのって、付き合ってるんだと思うじゃない? でも、向こうには全然、その気がなかったみたい。まあ、惚れた好きだなんて科白はお互いに一度も出なかったし、向こうも私を彼女扱いしたこともなかったから、一人で勘違いしてた私が悪いんだといえばいえるかも」
「無責任な男だな」
憮然として言う三鷹を見て、由梨亜は笑った。
「仕方ないですよ。その男を逃がしたくなかったら、私の方から告白すれば良かったんだもの。でも、私は自分の気持ちを彼に伝えなかった。だから、三鷹さんには同じようなことになって欲しくないから、ちゃんと自分の気持ちを相手に伝えた方が良いって思うんです」
「そんなはずないだろう。これでも付き合った女性たちとは真剣に接していたよ。一人くらいは、まあ、将来のことを考えたこともなかったわけでもないけど、決断するところまではいかなかった。お察しのとおり、今、恋人はいないよ」
「どうだか。皆にその調子でいつも心にないお世辞ばかり言ってたんじゃないの。三鷹さんは好きな女は、今、いないの?」
「俺?」
三鷹は眼を丸くした。どうも想定外の質問だったらしい。彼は少し考え込んだ風情で応えた。
「いるのはいるけど。どうだろうね、相手は俺なんてまるで眼中にないみたいだから、望み薄かな」
「勇気を出して当たって砕けろですよ。さもないと、私のように後悔することになるから」
どうも喋り過ぎだと思いながらも、止まらない。何でも打ち明けてきた母にも話せない胸の内を誰かに聞いて貰いたい想いが勝ったのかもしれない。
「由梨亜ちゃん、そんな男がいたのか?」
三鷹の声が少し強くなったのにも気づかず、由梨亜は頷いた。
「さっきも話した営業部で組んで販促やってたときの相方だけど、その男のことを少しだけ、良いなと思ってたの。まだ愛とか恋とかいう段階じゃなかったとは思うんですけどね。私的には良い雰囲気だと思ってた。休みには誘い合わせてスキーとか行ったりもして。普通、そういうのって、付き合ってるんだと思うじゃない? でも、向こうには全然、その気がなかったみたい。まあ、惚れた好きだなんて科白はお互いに一度も出なかったし、向こうも私を彼女扱いしたこともなかったから、一人で勘違いしてた私が悪いんだといえばいえるかも」
「無責任な男だな」
憮然として言う三鷹を見て、由梨亜は笑った。
「仕方ないですよ。その男を逃がしたくなかったら、私の方から告白すれば良かったんだもの。でも、私は自分の気持ちを彼に伝えなかった。だから、三鷹さんには同じようなことになって欲しくないから、ちゃんと自分の気持ちを相手に伝えた方が良いって思うんです」