偽装結婚~代理花嫁の恋~
第4章 ★惹かれ合う心たち★
三鷹は奥から何やら引っ張り出した。
「はい、これ」
無造作に差し出されたのは、ビロード張りの深紅の小箱とピンクの包装紙にくるまれた箱だった。包んである方はビロード張りの小箱よりは少し大きめだ。
「なあに?」
小首を傾げて三鷹を見上げると、三鷹が少し眼を細めて眩しげな視線をくれた。
「開けてみて」
促されるままに、まずはビロード張りの小箱を開ける。中から現れたのは滴型のネックレスだった。小さな滴型の枠にはめ込まれているのはルビーだろうか。シンプルだけれど上品で可愛らしい。三鷹の趣味の良さが窺える。
「素敵だわ」
由梨亜が嬉しげに微笑むのに、三鷹は負けないくらいに相好を崩した。
「そう? あんまり女性の好みそうなものなんて判らなかったから、自信なかったんだ。これまで女の人に贈り物をするときは、大抵、人任せにしてたから」
「人任せ?」
「うん、まあ、そのう、知り合いに頼んで買ってきて貰って、それをそのまま渡してたんだよ。相手には少し気の毒だけどね」
三鷹は頭をかいた。
「生まれて初めて自分で選んだわけだし、本当に気に入って貰えるのかな、なんて思ったりもしたんだ」
三鷹が生まれて初めて自分で選んでくれたプレゼント。その事実は由梨亜の心を烈しく揺さぶった。
「ありがとう。私、何て言ったら良いか」
由梨亜は涙が込み上げてきて、言葉をつまらせた。
「あ、そっちも開けてみてよね」
由梨亜はラッピングされた包みを解く。白い箱が現れ、更にそれを開くと、小さなオルゴールが出てきた。由梨亜の手のひらに乗るサイズで、白蝶貝でできている。蓋には繊細なリーフの模様が黄金で彫り込まれていた。
蓋を開けた途端、馴染みのある曲が流れ始めた。
「これ―、ラブリー・デイね?」
由梨亜が瞳を輝かせ、三鷹を見た。
三鷹が悪戯っぽく笑う。
「はい、これ」
無造作に差し出されたのは、ビロード張りの深紅の小箱とピンクの包装紙にくるまれた箱だった。包んである方はビロード張りの小箱よりは少し大きめだ。
「なあに?」
小首を傾げて三鷹を見上げると、三鷹が少し眼を細めて眩しげな視線をくれた。
「開けてみて」
促されるままに、まずはビロード張りの小箱を開ける。中から現れたのは滴型のネックレスだった。小さな滴型の枠にはめ込まれているのはルビーだろうか。シンプルだけれど上品で可愛らしい。三鷹の趣味の良さが窺える。
「素敵だわ」
由梨亜が嬉しげに微笑むのに、三鷹は負けないくらいに相好を崩した。
「そう? あんまり女性の好みそうなものなんて判らなかったから、自信なかったんだ。これまで女の人に贈り物をするときは、大抵、人任せにしてたから」
「人任せ?」
「うん、まあ、そのう、知り合いに頼んで買ってきて貰って、それをそのまま渡してたんだよ。相手には少し気の毒だけどね」
三鷹は頭をかいた。
「生まれて初めて自分で選んだわけだし、本当に気に入って貰えるのかな、なんて思ったりもしたんだ」
三鷹が生まれて初めて自分で選んでくれたプレゼント。その事実は由梨亜の心を烈しく揺さぶった。
「ありがとう。私、何て言ったら良いか」
由梨亜は涙が込み上げてきて、言葉をつまらせた。
「あ、そっちも開けてみてよね」
由梨亜はラッピングされた包みを解く。白い箱が現れ、更にそれを開くと、小さなオルゴールが出てきた。由梨亜の手のひらに乗るサイズで、白蝶貝でできている。蓋には繊細なリーフの模様が黄金で彫り込まれていた。
蓋を開けた途端、馴染みのある曲が流れ始めた。
「これ―、ラブリー・デイね?」
由梨亜が瞳を輝かせ、三鷹を見た。
三鷹が悪戯っぽく笑う。