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なつのおと

第4章 雨が降る




「私もって言いたいけど、ほんのちょっとだけハルに不幸になって欲しい気持ちがあるよ」


一度言葉をきって鼻を啜るあずさ。


「私と一緒にいればよかったって後悔して欲しい。なんてね」


ふわふわの頭をくしゃっと触る。


「良い奴見つけろよ」


「ハルよりうんっと素敵な人見つけるもんねっ!」



黒い涙をYシャツの袖で拭ってやる。


あずさはもう泣いていない。



「…じゃ」


彼女はコクンと頷いて、いきなりギュッと抱きしめてきた。


俺もそっと肩を抱く。


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