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なつのおと

第4章 雨が降る




一体いつまでそうしていただろう。



ふと気づけばオレンジ色に染まってた廊下も暗くなっていて、下校時刻が近づいていた。



俺はまだ彼女が去った方の廊下をぼんやりと見つめていた。


未練がある訳じゃないけど、あずさほど良い女ってあんまいない気がする。


優しくない俺に、優しかった。


「…くっああ」


ひとつ、大きく伸びをする。


そろそろ帰るか。


そういえば田中さんと海斗は一体何の話をしていたのだろう。


そんなことを考えていると背後に人の気配がした。



「…別れたの」



「ああ」



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