
なつのおと
第5章 ふたりがいた夏 前編
気付けば秘密基地を作る予定の場所に来ていた。
肩で息をしながら木を見上げる。
4本の木がちょうどいい間隔で四角に並んでいたから、ここがいいなって離してたんだけどなあ。
「はあ…どうしようか」
1人でやるならここじゃないほうが良い。
誰も知らない場所に作るから秘密基地なんだし。
もっと山の奥、いい場所を探してみようか。
落ちていた木の枝を拾って覆い茂った葉を払いながら進んでいく。
太陽はまだまだ高い位置にあるはずだがここは日の光があまり入ってこなくて外より涼しく感じる。
