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なつのおと

第5章 ふたりがいた夏 前編




奥へ奥へ。



土のちょっと湿ったにおいにむせそうになりながらもさらに進んでいく。


この木は…場所は良いけどちょっと登りにくそうだ。


木はやっぱり登れるやつのがいい。


欲を言えば上で居心地の良いやつ。


ああ、でも前に木に登ったまま寝ちゃって落ちて軽く怪我をしてしまったからなあ。


そんな事を考えて木など上ばかり見ていただろうか。


「うわあっっっ!!」


ぬかるんだ泥に足をとられて、崖とは言わないもののちょっとした段差を滑り落ちてしまった。



「いってえ…」



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