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なつのおと

第5章 ふたりがいた夏 前編




ドアノブに手をかけたまま、少しだけ開いた空間をそっと覗き込む。



が、暗くてなにも見えない。



風がシュンの髪をなでた。


後ろに誰かいるような気がして振り向いたがそこには森が広がっているだけで。


怖がってんじゃねーよ、俺。


心を決めて思い切りドアを押す。



キィィィとかん高い悲鳴を上げて扉が全開になった。



「おわっ」



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