
なつのおと
第5章 ふたりがいた夏 前編
「…なあんだ、蜘蛛の巣かよ!」
思わずほっとため息がでた。
まだ心臓がバクバク言ってる。
「あーあ、コウタとショウがいたらなあ。っていうかだれか男子がいたらなあ!」
自然と独り言が大きくなった。
「こんな家がある、なんて言ったらみんなビックリするかな。ゲームなんか置いて来てくれるかな」
今出てきた家をそっと振り返る。
それはやっぱりしんとしていて、暗かった。
「…一度家に帰ろう」
もう少しこの家を探索したい。
そうなると必要なものは違ってくる。
そう思って振り向いた時だった。
「…は?」
