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なつのおと

第5章 ふたりがいた夏 前編





「ほり、かなた」




その声が驚くほどきれいに聞こえたのはここが森の中だからだろうか。



「ホリカナタ?聞かない名前だな。どこ小だよ?」


「東京の小学校。今は遊びに来てるんだ」


そんなことどうでもいい、と言うようにカナタは首を伸ばして俺の後ろにあるあの家を見た。



「あれ、何」


「見りゃわかんだろ、家だよ家」


そういってぼんやり家を振り返ってみているとざっざっと音がしてカナタがまっすぐ家に向かって歩いてった。



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