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なつのおと

第5章 ふたりがいた夏 前編



ついさっきまで対峙していた扉の前に再び立つ。


今度は突然現れた少年、カナタが隣にいる。


さっき感じていた緊張は今はもうない。


あるのは期待とかすかなドキドキだけ。


「よし、じゃあ開けるぞ。カナタはあかりを頼む」


「らじゃー!!」


妙に気合いの入った声を背に、今度はドアノブを回して迷いなく扉を押した。


キィ…とさっきと同じ音を鳴らしてゆっくり扉が開いた。


すかさずカナタが懐中電灯で奥を照らす。


「うわ…ほこりっぽいね」


ライトに照らされた空気中の埃がキラキラ光って神秘的な雰囲気を醸し出した。


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