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なつのおと

第5章 ふたりがいた夏 前編




「何なんだよ…」


ようやくカナタの元に着くと彼は懐中電灯で壁を嬉しそうに照らした。


「は?何?」


なにもないけど…


ん?


ドクンと胸が高鳴った気がした。


「外にあって中に無いわけないでしょ」


彼が指さした先は、ただの壁じゃなかった。


「窓…」


埃が溜まりすぎているのか全く光を通さないが隙間からかすかに漏れる光や形状はまぎれもなく窓だった。


その窓に向かってカナタがすっと手を伸ばした。


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