なつのおと
第3章 遠い虹へ
昨日は結局会えなかった。
あずさの部活が休みだったのだ。
なんとかあずさを振り切ろうと思ったが、いろいろ説明すんのも面倒くさくて、そのまま一緒に帰った。
そしたら今日。
あの波のユラユラ余韻が消えたと思ったら
朝から無性に、本当に胸のそこからあのピアノが聞きたいんだ。
もう頭をかきむしりたくなるくらい。
なにこれ、禁断症状?
タバコじゃあるまいし。
とりあえず聞きたくてしょうがないんだ。
「じゃ、あたし部活行くから。またあとでね」
友達と並んだあずさの背中を見送る。
よし、行くか!
「ハル~」