
なつのおと
第3章 遠い虹へ
「………っ」
な、んなの
その極上笑顔。
一昨日よりもっと大きな、爽やかなその笑顔はいつもの無表情より何十倍も田中さんを輝かせていた。
いや、まじで光ってたんだって!
彼女の笑顔につられて俺も笑顔になる。
「…っああ。もの凄い楽しかった」
「間宮君、ピアノなかなか弾けるね」
「いやいやっ!俺が弾けるのこれだけだし!ちゃんと習ったことないからグチャグチャだし!」
「習ったこと、ないの?」
目をまん丸くさせた顔はどこか小動物を連想させて幼く見える。
あの笑顔が消えてしまったことは本気で残念だったが。
