
なつのおと
第3章 遠い虹へ
「まあどっちで呼んでも構わないけどね」
と、なんとなく海斗に対抗して名前で呼んでも良いよ―とにおわせてみたものの、
「海斗君、ちょっと良い?」
ああ、もう完全に顔を背けられて視界からも外れてしまったよ。
「ああ、ちょっと待って。俺が何でココにきたのか気にならないの?」
手で田中さんを制して俺の方を向く海斗にちょっとだけ感謝。
二人して勝手に話進めんだもん。
「はいっ!!気になります!」
「俺が来た時点で気づけ。あずさちゃん!さがしてるぞ」
あずさ。
その単語を聞いた瞬間サアッと血の気が引いていくのがわかった。
