
なつのおと
第3章 遠い虹へ
バッと時計を見るともうあずさの部活はとっくに終わってる時間だった。
「うわっやべえ――っ!!」
立ち上がって机に置いたカバンに手を伸ばす。
ケータイを開くと不在着信15件、メール3件。
そのうち1件ずつ海斗からで後は全てあずさからだ。
勢いよくケータイから顔を上げて海斗を見る。
「さっきあずさちゃんに会ってね。ずいぶん必死に探してたよ―。下駄箱にまだ靴があるから帰ってないはずなのに、教室にも図書室にもいない!って」
うわ、もう最悪。
一番最近届いたメールを開いてみると
『どこにいるの?早く電話ください。』
と絵文字も顔文字も使われていないシンプルな文。
そのシンプルさが、怖い。
