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なつのおと

第4章 雨が降る




『入学式の日、私ハルを見かけたんだ』


入学式。


ああ、大幅に遅刻したな。


遅れてきた俺を見て何を思ったのだろう。


『電車の中で』


「え」


『同じ車両で同じ制服の人がいるなあって見てたんだけどさ』


予想外の言葉に驚く。


『その人の隣に座ってたおばあちゃん、気分悪そうにしてて』


そう、あの日俺の隣に座ったばあさんが急に呻いてお腹を抱えた。


『私ちょっと離れた位置にいたし、声かけづらくて見てただけだったの。そしたら』


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