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なつのおと

第4章 雨が降る




「私、その時ハルが寝坊しましたって言い訳してんの聞こえたんだよね」


廊下に響く声が増えた。


オレンジ色の床に影が伸びる。


10メートルくらい離れた場所にスマホを耳に当てているあずさがいた。


「…あずさ」


「もうそれ聞いた瞬間、いいなって思っちゃって」


もう耳に当てている携帯からは声がしない。


「優しい人だなって。カッコいいなって思って、好きになったの」



あずさは笑っていたし、



泣いてもいた。



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