鬼畜の復讐2
第16章 衝撃
リハビリ施設にやってきた、中山あゆみ。
「ここに…拓真が…」
「拓真ならいないわよ、中山あゆみさん」
不意に背後から声をかけられた。
「!?」
「何しにきたのかしら?」
真由子の視線は冷たい。
「三田…真由子さん?」
「ええ。ここじゃ、なんだから…」
と、真由子は施設内は喫茶店へあゆみをつれていく。
「あの…拓真は?彼は…」
「元気よ?しかし、よくここにこれたものね?薄情モノのくせに。いえ、欲ボケ女かしら?」
「……拓真…恨んでいるでしょうね…」
「当然でしょう?突然未来を奪われ…気づいたら、独りぼっち…目覚めたら、四年が過ぎていたのよ?お父様の最期は看取れず…お母様も亡くなっていて、妹さんは行方不明…恋人は、自分の未来を奪った男の妻になっていた…」
あゆみは項垂れて、無言。
「四年間寝たきりで、身体は固まっていて、辛いリハビリを一年間…あなたが、幸せにくらしている間にね?彼は、中山隆一郎に復讐するという一念で、身体を元に戻したの…あなたの夫に復讐するっていう一念でね」
真由子は念を押すように繰り返した。
「ふ、復讐!?」
「当然でしょう?あなた、彼に拓真に感謝するのね」
「え?」
「私はね、拓真に聞いたのよ。あなたを恨んでいるかって。何て答えたと思う?」
「……」
「彼は、あなたの事は恨んでいないって言ったわ」
「!!」
「あなたが中山隆一郎のモノになった経緯を知ったら、仕方ないことだからって…」
「拓真…」
真由子は冷たい微笑みをあゆみに向けた。