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鬼畜の復讐2

第32章 賢太郎と詩織

「賢太郎くん…詩織ちゃん…どうしても、ご両親を助けたいか?」
二人がコクリと頷く。
「父親は犯罪者だ。母親もわかっていて、愛した、いわば共犯者だぞ?」
その問いかけに、嗚咽していた詩織がキッと顔をあげ、
「あなただって、犯罪者じゃない!こんなことしてっ!」と叫んだ。
「し、詩織!やめろよ」
「クックックッ…あゆみは意外と気の強い女だった…詩織ちゃん…君の言う通りだ。だが、それが復讐ってものだ。犯罪者にならずに復讐など、できるわけもない。今回の件、隆一郎の犯罪は既に時効だ。罪には問われないだろう。だが、この俺の復讐が公になれば破滅するのは詩織ちゃん…君達一家なのさ」
「世間は残酷よぉ?拓真や私は非難され、叩かれるでしょう?でもね?同情してくれる人間もいるわ。拓真の行為を理解する人間も必ずいる。お父様の過去の犯罪が公になって…お母様と詩織ちゃんはレイプ…賢太郎くんは拷問。果たして?そのあと普通に暮らせるかしら?うふふ」
「現役の国会議員のいわばスキャンダル。タダではすまないぞ?」
「どうなるかしらぁ?うふふ」
「俺には夢も家族もない。悪魔、鬼畜と罵られても、むしろ本望だ」
「お願いします!それでも父と母を許して下さい!」
「許す…か…」
拓真は再び、沈思黙考する。
それが賢太郎と詩織に恐怖感を与える。

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