鬼畜の復讐2
第15章 動揺
グランドハイアットホテル。
ロビーに、匂い立つような、美人のあゆみが、弟の雄介を待っていた。
「(あゆみ…いい女になったな…)」
遠巻きにあゆみを久し振りにみた拓真はあゆみのその美しさに感嘆すると同時に、その美しさは隆一郎が愛でたためだという辛い事実に、憎んでいないはずのあゆみに、怒りにも似た感情が沸き上がる。
「隆一郎…あゆみ…ぶっ壊してやるよ…今の幸せをな…」
暫くして、雄介が恋人の深雪を連れてロビーに現れる。
「姉さん!!(な、なんていい女なんだ)」
久し振りにみた姉は、実の弟である雄介でさえ、発情してしまうような、妖艶でいて、透き通るような美しさなのだ。
「久し振り…雄ちゃん…」
あゆみが隆一郎のオンナになることで実家が救われた、そんな幸せを拒否して家を出た雄介は、以来、音信不通を決め込んでいたが、拓真が目覚めて、隆一郎に復讐すると知り、あゆみと会う事にした。
雄介が恋人の深雪を紹介している頃、三宅丈二も、ホテルに現れた。
「拓真くん。あれが、中山あゆみか?」
「ああ…」
「ふっ…ボンボンが、拓真くんを亡きモノにしようとしてまで、手に入れたのは納得できるな…あの女、男を虜にする、魔性の女だぜ…(麗子もいい女だが、格が違う…ボンボンがあそこまでにしたのか…やりてえ…)」