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A fin-de-siecle angel

第1章 A

夜10時36分、裕美に呼び出しを食らった私は入口に待っている新作のシャンプーセットに迎えられ彼女の所へと向かった。

勿論千鳥足で。



積み上げられたシャンプーセットに出迎えられ薬局の入り口に入ってゆく。

フラフラとさ迷いながら淡いピンクのトレンチコートが似合う彼女の後ろ姿を頼りに、色とりどりのチューブが並べられている所に焦点を合わせ、歩いて行く。


チューブに引き寄せられ彼等に突撃した事は言うまでもないが、その右側に立っている人間に喋りかけられ目を醒ます。色んな意味で。


色んな意味で。
そう色んな意味で酔いが覚めた。


「大丈夫?てか酔ってた?ごめんごめん、あんさ、コレなんだけど、見てくんない?」

チューブやらケースに入ったクリーム達を拾い上げ元のおうちに返してやりながら

「へー、ホントにこんなくだらない事に呼び出したんだ。」


とキャッチボールを優しく返した。つもり。

あ、なんかチューブ、家に返してやったのに泣いてる気がする。


「くだらない事?」

「うん、ちょっとの確率で、あんたが妊娠とかして、検査薬買うの付き合わされるかと。泣きながら。」





27歳の私達はどこか大人になりきれていないきがする。

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