狼さんの腕のなか
第5章 彼の秘密
「ふぁれ?みゃほとひゃん、
ひゃべないの?」
(あれ?美琴ちゃん、食べないの?)
モグモグしながらも
口に手を当ててそう言うけれど・・・
(「琉那ちゃんがあまりにも
食いっぷりがよすぎてケーキが
喉を通るのも忘れて見てた」)
とは言えなくて・・・
「う、うん、食べるよ?
紅茶がおいしいからつい・・・」
そう、言って手元にある
花柄のカップに入った温かい
ピーチティーの甘い香りを楽しむ
琉那ちゃんに強引に手を引かれ
門前で待っていたらしい
月宮家のリムジンに乗せられ
着いた先は最近出来たパティスリー
外では何人もの人が列を作って
待っていたのに
そんなのお構いなしに中に入って
「月宮です」
その一言で並ばずに店内に通された
そして、
「お待ちしておりました月宮様」と
パティシェ直々に挨拶
さすが星城に通うお嬢様だと思った