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狼さんの腕のなか

第2章 取り引き

「やばっ!」
彼が帰った後勉強しながら寝てしまったあたしは飛び起きた

考えてない考えてない考えてない
どうしよ・・・
頭のなかでぐるぐるとたくさんの事を
考えていると急に咳き込んでしまった

「なんか・・・こげくさいというか」
部屋のなかがかすかに霞んで見える
それに、下の階からは泣き声みたいなのも

「・・・・・・・」
あたしはドアを開けて目を見開いた

火事だ!!

孤児院の中は煙が充満していて息苦しい
あたしの部屋はまだ火がきていなくて助かった、庭に繋がる梯子から逃げることが出来た

「愛ちゃん!!」
梯子から降りようとしたら二階の部屋で
愛ちゃんが泣いて座り込んでいたから
助けに向かう

「美琴ねぇ!!」

「大丈夫だからね、後ろ乗れる?」

「うん・・・」
泣き止むとあたしの背中に掴まる愛ちゃん

「絶対離しちゃだめよ?」

「美琴ねぇ・・・」
あたしの背中に顔を埋めた愛ちゃんを確認して急いで梯子を降りて
孤児院の表玄関に向かう

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