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狼さんの腕のなか

第1章 雨のなか

同じローファーなのに
彼らの足は断然あたしより早くて
どんどん距離が縮まる

「きゃっ」
あたしは水溜まりに足を滑らせて
つまずきそうになったけど

あたしの体は傘の中に入った

「ごめ、なさっ」
知らない人の胸に飛び込んでいた
あたしはすぐに顔を上げた

「・・・」
その人はフードを被った
男の人みたいで・・・瞳が少し
赤かった

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