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賄賂は君の身体で

第5章 思いで

「…ったく、そんな昔の事覚えてないわよ!!」


「でも、このマンションに少し一緒だったじゃん!!」



母の腕を掴みブンブン振る。
少しでも思い出してもらいたいのだ。



「そんな事言ったって、あの時期は入れ替えが激しくて…それに、万里が『お兄ちゃん』って言うだけで、名前も知らなければ顔も見た事無いのよ?」


「なんで!!」


「何でって…名前聞いたって『知らない』って言うし、連れて来たらって言っても『お外が好き』って言って、敷地内駆け回ってたんじゃない!!十年も経てばその頃一緒に住んでた人達は一戸建てや転勤で引っ越したりしてわかん無いわよ。現に、あの時一緒に遊んでたこなんて、8階の直人君くらいじゃない!!」

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