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賄賂は君の身体で

第5章 思いで

記憶は曖昧だけど、直人は『お兄ちゃん』を知らない。


既に『お別れの指輪』をもらった後で、着けていたら欲しいとねだられたんだ。
男のくせに、やたらと私の物を欲しがるから、壊される前に宝箱にしまった。



「直人が引っ越してくる前だもん!!」



「…だったらわからないわよ。第一、住んでた階すらわからないんでしょ?」



鼻で笑う様に母に言われると、掴んでいた手を離した。

『お兄ちゃん』
『別れの指輪』

万里自身もそれしか覚えてないと言うのか、知らないと言うのか…。

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