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剛さんが、この会社の社長ということはあの後すぐに分かった。
それに、剛さんは仕事になるとあの優しさは何処かに消えた。


「石本、書類できたか？」

「はい。」


少し書類を見て、

「堀越、シュレッダー。」

「はい。」

私は書類を受け取り、それをすべてシュレッダーにいれる。

「え？」

「あんな書類が通ると思ってるのか？
ふざけてるなら辞めろ。」

「すいません。すぐ作り直します。」

「今日中に机の上おいとけ。」

「はい。失礼します。」


剛さんはプロ意識が高くて、少しのミスも許さない。
完璧な人だ。


「怖いか？」

「え、まあ。
でも、プロ意識高いなとも思いますけどね私は。」

「みんなそう言ってくれると嬉しいんだけどな。」

「そうですね。
さっきの書類は何処がダメだったんですか？」

「誤字が多すぎる。
意味を間違えて使ってる文字が沢山あった。」

「そうでしたか。
1時から会食なので渋滞もみてもうそろそろ出た方が良いと思いますよ。」

「そうか。
ありがとう。仕事が終わり次第帰っていいから。」

「はい。では失礼します。」

社長室を出た。
仕事といってもそんなに大した仕事はない。
早く済ませて帰ろう。

そういえばあの石本さんに少しアドバイスして帰ろっかな。


私は仕事を終えて、石本さんのところに行った。

「あの、石本さん。」

「あ、堀越さん。社長が何か？」

「いえ、私があなたに伝えたいことがあって。」

「何ですか？」

「あの、さっきの書類、誤字が多かったらしいです。
社長が言ってました。あと、意味を間違えて使っている言葉も沢山あったって。」

「そうですか。ありがとうございます。気をつけて作ってみます。」

石本さん。と別れて家に帰った。

電車は怖くなったから、最近は自転車で通勤している。
車の免許もとろうと考えている真っ最中だ。


家につき、部屋着に着替えて晩御飯の用意をする。

剛さんは今日、遅くなるって言ってたから、作ったやつをラップして冷蔵庫に入れる。
自分の分だけ食べて、風呂に入り、ベッドに入った。