禁断のシェアハウス
第5章 2人の生活と和黄の気持ち
着いたところは、海。
「風が気持ちいい。
和黄何でこんなところ知ってるの?」
「俺もなんとなく覚えてるんだよね。
小さい頃に母さんが連れてきてくれたのを。」
「そうなんだ。」
和黄を捨てた母親。
でも、世界で1人しかいない母親なんだよね。
「ここ来るとさ、なんか落ち着くんだよね。」
「和黄………。」
「なあ、
俺、彩乃のことが好き。」
「ふーん。
へっ?!」
「ずっと前から。」
和黄が近づいて来る。
「なんで?
なんで私なの?」
「なんでだろ?
気づいたら好きだったから分からない。」
「でも私、今付き合ってる人がいて、その人に悪いし。」
「付き合ってるのは知ってる。
会社でも噂されてるし、俺は彩乃の護衛だ。
彩乃のすべてを知ってるよ。」
そして、私の耳元で、
「エッチなことしてたこともね。」
「見てたの?!
それはさすがに、ダメでしょ!」
「旦那様には言ってないよ。」
「当たり前だよ!」
「それは置いといて、付き合ってること分かっててもそれでも俺の気持ちは止めらんねぇの。」
そんなこと、和黄に言われたら断るに断れない。
私が物心つき始めた頃、私は和黄に告白したことがある。
いつも優しくて、仕事で忙しい父と母の代わりだった和黄は、かけがえのないものだった。
その和黄に今、告白されたのだ。
剛のことはとても好き。
だけど和黄も大事。
「そんなこと言わないでよ。
私がそんなこと言われたら、どっちも選べなくなることくらい分かってるくせに。」
「それが狙いだから。」
和黄は私の手を取り、車に戻った。
車のカーテンを閉め、周りから中が見えないようにする。
やることはだいたい検討がついた。