無料で楽しめるちょっと大人のケータイ小説

2週間くらい前。


「ねぇ、和黄。」

「何ですか、お嬢様。」

「私が引っ越して、あなたが私の執事じゃなくなったら、タメ口で話してほしい。普通の友達みたいに。」

和黄は少し考えて、

「……かしこまりました。
ですが、旦那様の前では今まで通りはなさせていただきます。」

「そうだね。お父様は、表では執事じゃなくなっても絶対あなたを私の護衛として、派遣するものね。」

「はい。」

和黄は苦笑いする。


そして今、一応私の執事じゃなくなった。


「早かったね。私が物心ついたときにはあなたが執事だったもんね。」

「もともと、俺は捨て子だったからな。
13歳で執事になったからな。
まぁ、はじめは彩乃をあやすだけだったけど。」

「そうなの？
え、義務教育だから中学は？」

「行ってない。その代わり、彩乃が寝たあと家庭教師呼んで勉強してた。」

「へぇー大変だったんだね。
だから勉強できたんだ。」

「あの頃は大変だったな。
ほとんど寝てなかったもん。」

「それで、何か1回熱出さなかった？」

「あった。覚えてるの？2歳くらいだっただろ？」

「あやふやだけど、なんか和黄がベッドに寝てて、離れるのが嫌で一緒に寝てたような気がする。
それで、お粥かなんかを一緒に食べてるのを覚えてるんだよね。」

「そうそう。人の食いもん横取りするんだもん。
俺結局3口くらいしか食えなかった。」

「ごめんなさい。」

「今更謝られても。」
そういいながら笑う。

そういえば、和黄が普通に笑ってるところみたことなかったかも。

「そういえば、彩乃初めてじゃない？こんなに夜更かししたの。」

時計をみればもう2時。

「ほんとだ。和黄とこんな風に話すの初めてだから、なんか楽しくて。そうだ、ケータイ持ってる？」

「あぁ、持ってるよ。」

「アドレス交換しよ？」

「うん。」

アドレス交換したあとベッドに入って寝た。
和黄は私が寝たのを確認すると、部屋を出た。