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神さま、あと三日だけ時間をください。

第2章 ♭ミュウとシュン~MailsⅠ~♭

 まさか、ここまできてお世辞でもあるまいと思いながら問うと、シュンは少し怒ったような表情になった。
「こんなときにふざけると思うのか?」
「ごめんなさい。でも、あなたが私をからかってるんじゃないのかと思ったものだから。私、あなたが思っているほど、若くはないのよ」
 シュンは一瞬、ポカンとし、それから笑い出した。
「何だ、そんなことか。ミュウがあんまり思いつめた顔で言うから、もう今度からは逢わないなんて言い出すんじゃないかと思って、焦った」
 シュンは笑いながら言った。
「じゃあ、三十一か二くらい? 俺にはとてもそんなには見えないけど」
 もう、何も言えなくなってしまった。美海は溜息をついて、また視線を海に投げた。
 静かな時間が流れてゆく。
 白いカモメが翼をひろげて天空を舞い、やがて入道雲に吸い込まれて見えなくなった。
「じゃあ、俺からも質問。さっき、子牛を構っていたミュウを見ていた時、俺が何を考えていたか判る?」
 美海は首を傾げた。あの時、シュンはとても嬉しそうに子牛と美海を代わる代わる見つめていた。
「何だかとても嬉しそうだったけど」
「何で、嬉しかったかは想像がつくかな」
 美海は怪訝な顔で首を振った。
「俺、ちょっと妄想してたんだ」
「妄想?」
「うん。ミュウがもし、もしもだよ、俺の奥さんになってくれて、子どもが生まれたら、あんな風に生まれた赤ん坊を可愛がるのかなと思った。あらぬ妄想してたら、自然に頬が緩んじゃって」
「どうして、私とシュンさんが結婚するということになるの?」
「ごめん、気を悪くした?」
「私はシュンさんより、うんと年上だもの。結婚なんて、あり得ない」
「そんなことないよ」
 シュンの声が少し高くなった。
「今時、歳の差がある夫婦なんて珍しくないじゃないか。奥さんの方が十くらい年上でも、俺、全然気にしない」
「私たち、今日初めて逢ったばかりなのに」

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