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温もり

第14章 十日目

「ねえ、じゃあ私を抱いて。ふふっ、やり方分かるかしら?」

 ラディは嗤い、ニニ五は顔を引きつらせる。
 彼女の腕を掴んでいたニニ五の手に舐める様に触れ、掴んだと思うと鉄格子越しに唇を重ねる。ニニ五は抵抗してもがくが、彼女の前には無駄な事だ。
 ふぅ、となにもない様に鉄格子をすり抜け、ラディは中に入って来る。恐怖に言葉を無くしているニニ五に絡みついて押し倒したと思うと、自分の服を脱ぎ、彼の顔に跨る。

「ほら、舐めなさいよ。何でもするんでしょ?」

 有無を言わさず、股間を彼の顔にぐりぐりと押し当ててラディは嗤う。ニニ五は突然の事に対するパニックと窒息の苦しさに暴れ、小柄な母親を押しのけようとするのだが、それも無駄な抵抗だ。
 ラディがくるりと振り向き、零九を視界に収める。彼女がなにを考えているのか、それだけで理解した零九は、必死に視線を逸らす。が、どこから伸びて来た手が傷ついた体を、舐めるように粘着質に撫で、そこから酷い痛みが消えて行った。

「零九、来なさい。貴方も好きでしょ?」

 耳に吐息を流し込まれ、背中をぞくぞくとした物が走り、性への欲求が体を疼かせる。
 今、彼女と性交渉しても何のメリットもない。屈辱を重ねるだけだ。だが、一秒ーー刹那の時間が経過するだけで欲求はまざまざと姿を表し、痛みも消え、すっかり回復されてしまった肉体は堪え難い疼きに支配される。

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