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　頭では状況を理解しても、なぜあのラディがニニを助けたのか解らず、しかも研究員を痛めつけているのか解らず、零九は泣いてしがみつくニニをギュッと抱きしめて周囲を見ている。
　そんな零九の心境を察したか、ラディは彼を見てクスクスと笑う。

「ふふっ、約束したじゃない？ 私を－－」

「黙れ！」

　ラディが何を言わんとしているのか解った零九は怒鳴って言葉を遮る。ニニには絶対に知られたくはなかった。
　そんな零九にラディは血まみれでぐったりしている研究員の顔をチカラを入れて踏みつけ、クスクスと笑う。

「ふふっ。早く戻って休みなさい。今度も期待してるわよ？」

　その言葉に零九は奥歯を噛み締める。
　『助けてあげたんだから、私を満足させなさい』とラディは言っていた。

「れ、零九？」

　しゃっくりをあげながらのニニの声に腕の中を見れば、驚いている様な、少し怖がっている様な表情の彼女がいた。

「どうしたの？ 怖い顔－－」

「戻ろう」

　ニニの言葉を遮り、零九は彼女の手を引いて歩き出す。
　無意識にラディに対する憎しみが顔に出てしまった、それをニニに見られた、と言う苦い後悔に表情は更に暗くなり、その顔を見られたくなくて、零九は乱暴に彼女の手を引く。