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温もり

第2章 妹

 風呂から上がると、二三九達が裸でバタバタと走っていた。その後ろをシャンクが追いかけて来て、二人と目が合う。

 年齢四十二、性別男、ナカムラ研究所・所長、シャンク=ナカムラ。性格、臆病者。

 ラディが自分達に何をしているのか知りながら何もしない彼に、零九は暗い炎を宿した目で睨みつける。ラディ相手に所詮一般人がどうこう出来ないのは解っている。それでも、自分達の事を知っている大人として、助けて欲しかった。

「次、使って良い、かな?」

 睨む零九に怯えた目をしつつ、シャンクは両手で二三九を捕まえて問いかける。
 零九は何も言わず、ニニも何も言わず、シャンクを避ける様に通り過ぎる。ニニは僅かに申し訳なさそうな視線を彼に向けるが、やはり何も言わない。

「一五零って怖いよね」

 怯えているシャンクを見て二三九は無邪気に言い、二人に聞こえたのではないかと彼はビクビクしながら、そうだね、と答えた。
 二人に憎しみを向けられる事よりも、二人を助けられないもどかしさよりも、ラディが恐ろしかった。死ぬよりも辛い目にあう事は火を見るよりも明らかで、かつては自分の子供の様に大切に思っていたラークが、同じかそれ以上の目にあっているだろう事も、今は解っていた。

「お風呂入ろーよ!」

 無邪気に笑っている二三九を見て、まだ幼かったラークを思い出す。
 故郷を合成獣達によって奪われた直後であっても、彼は無邪気に笑い、怪我をした狐の世話をしていた。
 彼は今、ハンター業界でキングに君臨している。

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