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温もり

第2章 妹

 零九は一人で部屋に戻った。ニニは髪を乾かしに行った為だ。
 乱暴に髪を拭き、ベットに腰掛けて溜息を吐く。ばさりと音がして足下を見ると、先ほど三零一が渡してくれた雑誌が落ちていた。ニニを探しに行ったりなどしていて、持ってはいたのだが存在を忘れていた。
 表紙に『最強の名はダテじゃない!?』と書かれていて、どうやらラークの事がメインとして取り上げられているらしい事が読めた。

 零九は適当に髪を整え、雑誌を手に取る。
 殺処分と言う仕事は、見方によってはハンターのそれとよく似ている。そのせいもあるのか、彼は父親であるラークに強い憧れに似た思いを抱いている。
 パラパラと雑誌をめくり、ラークの写真を見つけて手を止める。

『ラーク=ラルバートには謎が多い。ハンター登録される前から魔物狩りを行っていたのは周知の事実だが、彼が討伐した魔物の数は我々の取材でもハッキリしなかった。千とも万とも言われる討伐数の中には、二匹のスカルベスも含まれ、更にはケルベロスやウィザードハンドにアティルパンサーなども多数含まれている。
 世界各国を回っている筈の彼だが、彼の姿を見た人は少ない。彼は実際の所、本当にそんなに討伐を行って来たのか、疑問に思うーー』

 雑誌に釘付けだった零九は、ニニがひょいと顔を覗き込むまで気づかなかった。

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