
温もり
第3章 殺処分
ビシャ。
天井から壁、床にまで飛び散った赤は重力に従い、床に落ちて跳ねる。
「うう……」
激痛に声を上げ、涙を流している彼の目に映るのは、返り血を浴びて涙を流している兄か弟かも解らない、それでも同じ親を持つ男。
「零九!」
彼にトドメを刺そうとした零九をニニが突き飛ばした。
二人の間を何かが横切り、彼の腹部に突き刺さった。
「ぎゃあ!」
腹に刺さった槍とも思える太く長く、鋭いそれに彼は苦痛の声を上げて抜こうとするが、手がそこに届かず弱々しく抵抗するだけに留まっている。
クルリと振り向いた二人が見たのは、爪が異様に長い熊だった。何の為にそんな姿にされたのかは解らない。ただ解るのは、研究所から必要とされず、廃棄処分されていると言う事だけ。
彼の腹に突き刺さったそれは熊の爪かと思ったが、それにしては短い。そう思った瞬間に強い殺意を感じて二人はその場から離れる。
次の瞬間に槍の様な物が飛んで来て床に弾かれて壁に弾かれて転がる。
飛んできた方向を見ると、立派な角を持った鹿の様な合成獣。どうやら先ほどからのこれはその角らしい。
フッと息を吐き、二人は再び構える。と思うと二体の合成獣に同時に襲い掛かった。
熊はニニの目にも止まらぬスピードに翻弄されて大振りの攻撃を当てられず、鹿は零九の滑り込みの蹴りに足を折られて身動きが取れなくなる。
ニニは熊の動きを見切り、背後から刀を横なぎにし、首を刎ねた。
零九は角の攻撃を避け、次の角が生えてくるまでの間の攻撃不可の間に胴を真っ二つにした。
天井から壁、床にまで飛び散った赤は重力に従い、床に落ちて跳ねる。
「うう……」
激痛に声を上げ、涙を流している彼の目に映るのは、返り血を浴びて涙を流している兄か弟かも解らない、それでも同じ親を持つ男。
「零九!」
彼にトドメを刺そうとした零九をニニが突き飛ばした。
二人の間を何かが横切り、彼の腹部に突き刺さった。
「ぎゃあ!」
腹に刺さった槍とも思える太く長く、鋭いそれに彼は苦痛の声を上げて抜こうとするが、手がそこに届かず弱々しく抵抗するだけに留まっている。
クルリと振り向いた二人が見たのは、爪が異様に長い熊だった。何の為にそんな姿にされたのかは解らない。ただ解るのは、研究所から必要とされず、廃棄処分されていると言う事だけ。
彼の腹に突き刺さったそれは熊の爪かと思ったが、それにしては短い。そう思った瞬間に強い殺意を感じて二人はその場から離れる。
次の瞬間に槍の様な物が飛んで来て床に弾かれて壁に弾かれて転がる。
飛んできた方向を見ると、立派な角を持った鹿の様な合成獣。どうやら先ほどからのこれはその角らしい。
フッと息を吐き、二人は再び構える。と思うと二体の合成獣に同時に襲い掛かった。
熊はニニの目にも止まらぬスピードに翻弄されて大振りの攻撃を当てられず、鹿は零九の滑り込みの蹴りに足を折られて身動きが取れなくなる。
ニニは熊の動きを見切り、背後から刀を横なぎにし、首を刎ねた。
零九は角の攻撃を避け、次の角が生えてくるまでの間の攻撃不可の間に胴を真っ二つにした。
