
温もり
第1章 嗚咽
「あ、零九」
奥に続く扉を開けようとした時、二三九に呼び止められた。
「ご飯できたら私が呼びに行くから」
「……解った」
ニニとの関係を知っている彼女は二人にさりげなく気を使っている。それは零九も解っていて、感謝の言葉と共に微かに笑って見せる。
「それにしても、どこで何をしてたの? ニニ、心配してたわよ?」
料理当番の彼女は片手にキャベツを持ったまま尋ねてくる。零九はその質問には答えられず、視線を外す。
「……言いたくないなら良いけどさ、ニニにはちゃんと言ってあげた方が良いよ? 一二が亡くなってから、また不安定になってるんだから。三零みたいになったら大変よ?」
「……解ってる」
精神疾患を起こしたナンバー一五零の三零を差し、二三九は注意を促す。だが、零九はそれでも本当の事は彼女に打ち明けないだろう、と二三九も思う。彼がニニにすら何も言わずにどこかに言っているというのは、彼女に言えない事だという事は察している。
零九は何も言わず、扉を開けて廊下に出て行く。
「私達に出来る事はないの?」
二三九は呟く。
無口で無表情で、零九の感情は読めない。それでも、ニニといるとお互いが幸せそうだと感じている。それが、続くならどんなに良いことだろうか。思っても、そうは行かない事も二三九は解っていた。
奥に続く扉を開けようとした時、二三九に呼び止められた。
「ご飯できたら私が呼びに行くから」
「……解った」
ニニとの関係を知っている彼女は二人にさりげなく気を使っている。それは零九も解っていて、感謝の言葉と共に微かに笑って見せる。
「それにしても、どこで何をしてたの? ニニ、心配してたわよ?」
料理当番の彼女は片手にキャベツを持ったまま尋ねてくる。零九はその質問には答えられず、視線を外す。
「……言いたくないなら良いけどさ、ニニにはちゃんと言ってあげた方が良いよ? 一二が亡くなってから、また不安定になってるんだから。三零みたいになったら大変よ?」
「……解ってる」
精神疾患を起こしたナンバー一五零の三零を差し、二三九は注意を促す。だが、零九はそれでも本当の事は彼女に打ち明けないだろう、と二三九も思う。彼がニニにすら何も言わずにどこかに言っているというのは、彼女に言えない事だという事は察している。
零九は何も言わず、扉を開けて廊下に出て行く。
「私達に出来る事はないの?」
二三九は呟く。
無口で無表情で、零九の感情は読めない。それでも、ニニといるとお互いが幸せそうだと感じている。それが、続くならどんなに良いことだろうか。思っても、そうは行かない事も二三九は解っていた。
