
温もり
第4章 母
彼は椅子に座る気力も無いらしく、へたり込む様に床に座ってフラフラとしていた。
「立って、ソファに行こう?」
ニニは彼の手を掴んで強く引く。ぼんやりとして今にも眠りそうな彼は彼女に殆ど体を預けながら年少達が遊んでいるソファに近寄る。年少達はそんな零九とニニの様子に気づいて避け、心配そうに二人を見る。
「すっごく疲れてるんだ。ニ零一の三ニか、五五呼んで来てくれる? 零九を部屋に運ぶの手伝って欲しいんだ」
ニニは自分を庇うためにあの四人を手にかけた零九を見つめる。
ハンターズ・シンドローム(狩人症候群)を発症はしているが、見た目に変化が現れないのもこの病の特徴で、精神疲労によりげっそりとやつれているくらいで、死期が近づいている様にはとても見えない。
「零九、今部屋に運ぶから、もう少し頑張って」
彼の逞しい腕を摩り、ニニは呼びかける。聞こえてはいるらしく、今にも落ちそうな瞼を必死に開き、虚ろな金色の目を向ける。
「ご、めん……」
泣きそうなのを堪えている彼女に彼は謝罪を口にする。
泣かないで、俺は大丈夫だから。そう言って笑って涙を拭いたいのに、もう出来ない。自分の置かれた現状を知っているから。
「立って、ソファに行こう?」
ニニは彼の手を掴んで強く引く。ぼんやりとして今にも眠りそうな彼は彼女に殆ど体を預けながら年少達が遊んでいるソファに近寄る。年少達はそんな零九とニニの様子に気づいて避け、心配そうに二人を見る。
「すっごく疲れてるんだ。ニ零一の三ニか、五五呼んで来てくれる? 零九を部屋に運ぶの手伝って欲しいんだ」
ニニは自分を庇うためにあの四人を手にかけた零九を見つめる。
ハンターズ・シンドローム(狩人症候群)を発症はしているが、見た目に変化が現れないのもこの病の特徴で、精神疲労によりげっそりとやつれているくらいで、死期が近づいている様にはとても見えない。
「零九、今部屋に運ぶから、もう少し頑張って」
彼の逞しい腕を摩り、ニニは呼びかける。聞こえてはいるらしく、今にも落ちそうな瞼を必死に開き、虚ろな金色の目を向ける。
「ご、めん……」
泣きそうなのを堪えている彼女に彼は謝罪を口にする。
泣かないで、俺は大丈夫だから。そう言って笑って涙を拭いたいのに、もう出来ない。自分の置かれた現状を知っているから。
