
温もり
第4章 母
殆ど眠っている零九を部屋に運び、ニニは手伝ってくれたニ零一の五五に礼を言う。
「助かったよ」
五五はベッドに横にした瞬間に眠ってしまった零九に視線を送り、ニニを見る。
「……大丈夫なのか?」
「え?」
零九よりも背の高い彼を見上げ、ニニはキョトンとする。否、そういう表情を作る。彼が何を思ってそう言っているのは、彼女も判っているのだ。
「いや、なんでもない」
血の繋がりと長く一緒に居る彼女がそう演技していると気づいた五五は、何も言うまい、とそう言ってゆっくりと扉を閉める。
カチャン、と金属の扉が閉められ、ニニはすぐに零九に駆け寄る。
「零九、起きて。ねぇ、私を殺して」
もう彼は限界だと思った彼女は恋人の頬を摩って起こそうとする。
このまま目を覚まさない。そんな悪い予感しかもう無かった。
「お願い、目を覚まして。私を殺して……。独りにしないでよ……」
深い眠りに落ちた零九に縋り、ニニは搾り出すような声で何度も彼を呼ぶ。
「零九、零九、お願い。起きて、零九……お願いだから……」
まるで彼がもう死んでしまったかのように、彼女の声は絶望と悲しみの色に染まっていた。
「助かったよ」
五五はベッドに横にした瞬間に眠ってしまった零九に視線を送り、ニニを見る。
「……大丈夫なのか?」
「え?」
零九よりも背の高い彼を見上げ、ニニはキョトンとする。否、そういう表情を作る。彼が何を思ってそう言っているのは、彼女も判っているのだ。
「いや、なんでもない」
血の繋がりと長く一緒に居る彼女がそう演技していると気づいた五五は、何も言うまい、とそう言ってゆっくりと扉を閉める。
カチャン、と金属の扉が閉められ、ニニはすぐに零九に駆け寄る。
「零九、起きて。ねぇ、私を殺して」
もう彼は限界だと思った彼女は恋人の頬を摩って起こそうとする。
このまま目を覚まさない。そんな悪い予感しかもう無かった。
「お願い、目を覚まして。私を殺して……。独りにしないでよ……」
深い眠りに落ちた零九に縋り、ニニは搾り出すような声で何度も彼を呼ぶ。
「零九、零九、お願い。起きて、零九……お願いだから……」
まるで彼がもう死んでしまったかのように、彼女の声は絶望と悲しみの色に染まっていた。
