
温もり
第4章 母
フッと、零九は目を覚ました。
手に温かい物を感じてハッキリいないまま、反射的にその方を見るとニニが手を握ったままベッドに縋って眠っていた。
また、泣かせた、と思う一方、彼女がこうして無条件に自分を心配してくれる事に安堵する。それから、夢の中で彼女を否定してしまった事に苦いものがこみ上げる。
「ニニ、俺は君に会えて良かったと思ってるよ」
罪悪感を誤魔化す様に零九は口にする。
そろりと彼女の手を離し、ゆっくりと起き上がる。照明の消された部屋は真っ暗で、傍らにいる彼女と自分が乗っている簡素なベッドは見えるが、それ以上は殆ど見えない。
ここがもし、自分達の知らない場所だったら、もし、誰もいない異世界だったら、もし、ニニと二人きりでこの部屋に閉じ込められただけだとしたら……。そんな事をふと、考えてしまい、そんな夢見がちな自分の思考に呆れてしまう。
現実を見据え、どうすれば彼女にとって良い選択か、零九は知っている。
ベッド脇で眠っている彼女の、灰色の頭を撫で、長い髪を一房掴んで口付けする。
「次、会えた時は、君は俺を憎むかもしれない。もし、君に愛されなくても、俺は、君を愛し続ける。君の幸せだけを願うよ」
そして、ニニにも聞かれない様にそっと囁いた。
手に温かい物を感じてハッキリいないまま、反射的にその方を見るとニニが手を握ったままベッドに縋って眠っていた。
また、泣かせた、と思う一方、彼女がこうして無条件に自分を心配してくれる事に安堵する。それから、夢の中で彼女を否定してしまった事に苦いものがこみ上げる。
「ニニ、俺は君に会えて良かったと思ってるよ」
罪悪感を誤魔化す様に零九は口にする。
そろりと彼女の手を離し、ゆっくりと起き上がる。照明の消された部屋は真っ暗で、傍らにいる彼女と自分が乗っている簡素なベッドは見えるが、それ以上は殆ど見えない。
ここがもし、自分達の知らない場所だったら、もし、誰もいない異世界だったら、もし、ニニと二人きりでこの部屋に閉じ込められただけだとしたら……。そんな事をふと、考えてしまい、そんな夢見がちな自分の思考に呆れてしまう。
現実を見据え、どうすれば彼女にとって良い選択か、零九は知っている。
ベッド脇で眠っている彼女の、灰色の頭を撫で、長い髪を一房掴んで口付けする。
「次、会えた時は、君は俺を憎むかもしれない。もし、君に愛されなくても、俺は、君を愛し続ける。君の幸せだけを願うよ」
そして、ニニにも聞かれない様にそっと囁いた。
