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私と高志の長い一日~とっておきのキスは恐怖の後で~

第1章 恐怖体験の始まりは、さらし首から!?

「任せとけ、俺は男だからな。ちゃんとお化けが出ても、俺が守ってやる」
 いや、そういうアンタがいちばんヤバそうに見えるんですけど―。
 とは、もちろん言いたいが言わない。
「う、うん。まあ、そこまで言うのなら」
 と、高志に引っ張られるようにお化け屋敷の中に足を踏み入れる。
 まっ、これが本当に好きな男の子とだったら、何かに驚くふりをして〝きゃーっ〟とか可愛らしく悲鳴を上げて抱きついてみれば、あっちはあっちで、さりげなく腕を回して引き寄せたり―と、ふたりの仲も一挙に進展するんだろうけど、相手が高志じゃねえ。
 甘い期待に胸がうずくもなにも、あったもんじゃない。
 私たちがまず対面したのは、さらし首だった。どうも、このお化け屋敷は建物全体が江戸時代の雰囲気になっているらしい。よく、おばあちゃんとかがドラマで見てる時代劇のような感じね。
 遊園地のお化け屋敷なんて、チャチなものかと思ってたら、これがなかなかよくできて、本当にどこかから、お侍さんが出て来そう。
 さらし首があったのは、番屋、つまり、今でいう警察署、もっと判りやすくいえば派出所のようなものだ。江戸時代には、そこで岡っ引きが捕まえてきた罪人を取り調べたりしたのね。
 

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