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私と高志の長い一日~とっておきのキスは恐怖の後で~

第2章 色っぽい花魁の次は身も凍る夜泣きそば屋

 たぶん、人が近づくか、遊廓の中に入ったら、センサーのよなものが働いて、人形が自動的に動いたり喋ったりするような仕掛けがあるのだろう。
 確かに私も最初は生きてる人間かと思い込みそうになった。それほど、精巧にできている。
 でもねー、蝋人形が動くだなんて、普通、誰も思わないよ。
 おまけに、これは喋るときてる。
「ヘヘ、だけど、本当に色っぽいな」
 高志は人形と判るや、かえって遠慮がなくなったらしい。花魁の人形を間近で観察している。
「この上のキモノの下からチラッと見えている真っ赤な下着何かこう、男ごころをそそるよなぁ」
 花魁のキモノは豪奢というひとことに尽きる。同じ身をひさぐ遊女でも、格下の女郎と最高位の花魁では格が違うのだ。
「ちょっと失礼」
 なんて言いながら、高志は花魁の胸に手を伸ばしている。
「なにしてんのよ!」
 嫌らしい手つきで胸をさわっている高志の背中を軽くつねってやる。
 

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