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私と高志の長い一日~とっておきのキスは恐怖の後で~

第2章 色っぽい花魁の次は身も凍る夜泣きそば屋

 似たような遊廓が居並ぶ色町をやっと抜けたと思ったら、いきなり淋しい場所に出た。
 町外れといった雰囲気。見回しても、人気がないのは元々だけれど、家やお店らしき建物もない。町か途切れて、ゆく手に小さな川が流れて木の橋がかかっている。
 橋の向こうには、武家屋敷らしい町並みが続いているようだ。
 向こう岸の橋のたもとに、小さな屋台が出ている。
 私はホッとした。
 ここのお化け屋敷のスタッフにせよ、初めて中に入ってから、私たち以外の人間を眼にするのだ。
 正直、もう蝋人形はごめん被りたい。
「ねえ、とにかく橋を渡って向こうに行ってみない?」
 提案すると、高志は素直に頷いた。
 私が先に立ち橋を渡り、高志がその後に続く。短い橋はすぐに終わり、私は屋台を出している人に話しかけた。60歳くらいじゃないかな? 少し背中を丸めるようにした後ろ姿は、ママのお父さんーつまり、おじいちゃんにそっくりだ。

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