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私と高志の長い一日~とっておきのキスは恐怖の後で~

第2章 色っぽい花魁の次は身も凍る夜泣きそば屋

 言われなくても判ってるよ。
 昔から、井戸とくれば、番町皿屋敷とか、怪談に登場する定番しゃないのさ。
 嫌な予感がしまくり。
 私は知らないうちに、隣の高志の手を握りしめていた。
 高志も私の手をぎゅうっと握り返してくる。
 仕掛けだと判っていても、嫌なものは嫌だよ。
「高志、ダッシュで行こう。あの井戸の前、眼をつぶって通り過ぎよう」
「おお、それで行くしかなさそうだな」
 珍しく意見の一致を見た私たちは、手と手をしっかと握りあったまま、いちにのさんで、全速力で駆けだした。

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