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私と高志の長い一日~とっておきのキスは恐怖の後で~

第3章 謎の江戸っ娘はいったい誰!?

 ちょっと、あんた、それは反則だよ。そういう母性本能をくすぐる顔されると、私は弱いんだ。
 あんたをいつまで経っても突き放せないのは、その無防備な笑顔のせいなんだよ。いつも人なつっこい子犬のように私の後をついてくるのは良い加減に止めてよね。
 あんは学校中の女子から秋波を送られてるんだから、よりどりみどりでしょう。その中からAKBばりの可愛い子を選んで彼女にすれば良いじゃないか。
 私はあんたの彼女でもないのに、女子たちからは戸津川クンを独占してるって白い眼で見られて、たまったものじゃないんだ。
 あんたに彼女でもできれば、私も晴れて、あんたのおもり役を卒業できるのにさ。
 高志の笑顔は私の心に不意打ちを食らわせた。私は急に跳ね上がった心臓の音には気づかないふりをし、平静を装って言う。
「良かった、あんたが腰抜けたままじゃあ、あたしまでずっと、この薄気味悪いところにいなきゃならなくなるからね。巻き添えを食うはごめんだよ」
 

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