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私と高志の長い一日~とっておきのキスは恐怖の後で~

第3章 謎の江戸っ娘はいったい誰!?

 根気よく問いかけ続けているうちに、やっと女の子が顔を上げた。
 きらきらと輝る黒い瞳は大きくて、吸い込まれそう。めっちゃ、可愛い。魅力的な瞳に涙の雫が水晶みたいに宿っている。
 私は同性なのに、このコを見ただけで、守ってあげたい! と思ってしまった。
 女の私でさえそうなのだから、男の子はいちころだろうな。
 果たして、さっきまで放っておけば良いのにとぶつぶつ言ってたくせに、高志は早くも鼻の下を伸ばして女の子をボォーと見つめている。
「帰り道が判らなくて、困ってるんです」
「帰り道?」
 私は首をかしげた。帰り道って、出口のことかな?
「出口なら、ここからだともう近いと思うし、私たちと一緒に来れば良いわ」
 すると、女の子は哀しそうに首を振る。
「どなたか私を元の場所へと連れていっては下さらないでしょうか」
 私は女の子をまじまじと見た。

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